ライティングについては、複数の書籍を読んだことがあるが、動画では見たことがなかったので「1日2万文字書くプロライター直伝!素早く・わかりやすい文章を書くスピードライティング術」を見た。結論から言うと、動画の内容と価格(21,000円)が釣り合っていないというのが感想だ。
初心者をターゲットにしているようだが、抽象的な内容が多く、実践するにはそれなりに咀嚼が必要になってくるだろう。ライティングに関する作業の進め方や考え方を学ぶことができるのでUdemyのセール期間中であれば購入を検討してみても良いだろう。
扱っている内容が初歩的かつ抽象的
動画を見る人のターゲット層が初心者向けであることを考慮しても、内容自体があまりにも初歩的かつ具体的な内容に踏み込んでいないため、動画を見た後に「よし、これでやってみよう」という納得感が得られない。
例えば動画内で、不特定多数に向けた文章は誰にも響かないのでペルソナを設定しましょうという内容がある。これは内容としては正しい。動画の中では更に、ペルソナは特定の個人にまで絞る(20代男性はペルソナではない)、実在しないペルソナは作らないなどの内容を紹介している。そして、「友人」や「インターネット上の人」など実在する人をモデルに作ると紹介しているが、その進め方でペルソナを作って響く文章が作れるかと言われたら疑問だ。
自分の知ってる人をベースにペルソナを作っても、書く記事のターゲット層であるペルソナではなかったらやはり響かない記事になる。また、ペルソナ作りのサンプルフォーマットが示されているがやや抽象的で説明に終始しているため「ペルソナを作る意味とフォーマットは理解は出来たけど、どうやったら良いかがわからない」という状態になるのではないだろうか。
ペルソナ作りのサンプルフォーマット
- 名前
- 立場
- 顔写真
- 読む人の知識レベル
- どんな悩み・課題を抱えているか
- 読んでどんな反応をしてほしいか
当たり前のことしか言っていない
動画全体を見ると言ってることは正しいが、当たり前のことしか言っていないという印象を持つ。
例えば、文章を書き続けるためのメンタル管理術というセクションでは将来の不安をなくす方法として、先が見えず淡々と仕事をこなしているだけだとモチベーションは上がらない。今後自分はどうなりたいのか、そのためには何をすればよいのかを考えビジョンを描こうと説明している。
これも言っていること自体は間違っていないが、ライターが感じる不安というのはそもそも今の単価のまま稼ぎ続けることができるのかとか作業こなしてナンボの世界なので短期的な収入形態になっていることへの不安だろう。今日・明日の金を心配してる人にとっては将来の話をされてもピンと来ない。ビジョンを描いてそこに向かって日々頑張るという視点は正社員など給料が安定している立場の人には響く内容だ。
他の例では文章の型として4つの型を紹介しているが、これも内容としてはよく知られているものばかりだった。
- PREP法
- 箇条書き
- 新PASONAの法則
- ストーリー
動画間の隙間を自分で埋めて実践できる人には意味があるか
全体的な印象としてはどこかで聞いたことのある内容の詰め合わせという印象だが、動画の説明の間(実践するための具体化)がされていないため、初心者にとっても取っつきづらそうだなというのが率直な印象だ。
ただし、文章を書く流れは一通り整理されているため、動画間の隙間を自分で埋めて作業を進められる人にとっては段取りがわかるという点で学びがあるかもしれない。
ペルソナの設定→(ペルソナが持つ)課題の設定→リサーチ→ライティング(のための文章の型紹介)というのは流れとしては王道だし、説明の内容自体は誤りは少ない。
ただし通常価格は21,000円と非常に高価であり、それだけの価値があるかと問われると疑問符がつく。購入を検討する場合は、Udemyのセール字を狙うと良いだろう。
同じような内容で多くの書籍が出ているので、そちらを見ることも薦めたい。
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング できるビジネスシリーズなどは値段も手頃で、実際の文章の書き方も実例で紹介されているので理解しやすいだろう。